株式会社 千成堂
代表取締役社長
浅野八郎
私自身は、昭和のそれも戦前の生れですが、私どもの世代の少年時代の生活環境はことごとく手仕事の製品で囲まれていました。手仕事の製品はごく日常的な、ごく当り前の製品としてそこに存在していました。 使い古した机や椅子も、母の仕立てた着物はもちろん、編んでくれるセーターや手ぶくろ、そしておやつの水あめまでさえも手づくりでした。近所の商店の間には鍛冶屋、ブリキ屋、桶屋が作業場兼店舗を構え、まさに職人仕事の宝庫でありました。 いわば手仕事がイキイキと活かされていた時代であったと言えます。 まもなく押し寄せた工業製品の時代は、マス・プロダクト、マス・セールスの合理的で能率的なものを求め、時代が進むにつれ安価で便利で使いやすい、丈夫でしかも魅力的なデザインへと商品がさらに淘汰され、今日があります。 工業製品が氾濫する中で、手仕事製品の郷愁が多くの人の胸中をとらえて、あたたかさ、やさしさを求める心が再認識されつつあります。 一方、過去の文化に、今初めて触れる新しい世代にも、興味深い文化としてとらえられています。 ただ古い伝統品ではなく、現代に実用品として生き生きと輝くモノたち。日本全国各地の風土が生み、育んだ「よきモノ」を選び集め、『旬工房』のブランドでお届けしております千成堂は、創業以来100年余の歴史を誇ります。 扇づくりから始まった千成堂の歴史は、紙を漉き、木を彫り、絵をつけ、伝統の力に守られた確かな手づくりの歴史でもあります。 ここで培われた確かなモノづくりの眼、技、そして生活文化へのこだわりで『旬工房』の製品として世に出してまいります。 自然素材をもとに、よき工業化と、よき手仕事を融合させ、手仕事職人の腕で日本人の心がかよい合う「よきモノ」を守り、創り、育ててまいりたいと存じます。